大人の女性をきれいに見せる服選び(コート)
コート選びのポイントをお伝えします。今回はダウンではなくウールなどのコートを想定しています。
このブログでも何度かお伝えしているように、誰にでも似合うデザインというものはありません。今、似合うものがわからないという40代以降の方は、基本的にはオーソドックスなもの、ある程度きちんとした感じのものが失敗しにくいとお考えください。(「 40代以降の服選び、何を着たらいい?」参照。この記事の下にリンクを記載しています)
前半は、今似合うものがわからない方も含めて参考にしていただける内容です。後半はパーソナルデザイン別のアドバイスをお伝えします。
いちばんのポイントは身巾
大人の女性にとってはちょうどいいサイズ感、身頃がだぼっとしていない、でもぴたぴたすぎないコートが無難です。ここ数年の傾向からすると、今年も身巾の大きいコートはまだ多いでしょう。ですが身巾の大きい、だぼっとした感じのコートは誰でも似合うわけではありません。
ただこの「だぼっとしている」かどうか。みなさん案外見分けがつかないようです。一見だぼっとしていないように見え、またデザインもきれいめだからと試着したらなんだか冴えない…といったことはありませんか?
だぼっとしているかどうか、見分けるポイントは袖付けです。
セットインスリーブ(おすすめ)
以前「大人の女性のロングカーディガン選び」という記事を書きました。考え方は同じです。おすすめはドロップショルダー(袖付けが落ちているもの)ではなく、セットインスリーブ(袖付けの位置が本来の肩先の位置とほぼ一致)。

上図の向かって左側がセットインスリーブです。上図はロングカーディガンとして描いたものですが、コートの場合はもう少し肩先が外に出ます。体の肩巾よりも、コートの肩巾のほうが大きくなるということですね。
セットインスリーブだと必然的に身巾が大きくなりすぎません。セットインスリーブ、つまりかちっとした肩、そして大きすぎない身巾。こういったコートがコートとしての基本の形。大人の女性にとっては無難です。
ドロップショルダーなど(流行)
上図の向かって右側がドロップショルダー。身巾の大きいコートの袖付けはドロップショルダーであることが多いです。またドロップショルダーは肩先が丸くなり、全体としてもたっとした印象になりやすい(素材やデザインにもよりますが)。またラグランスリーブも肩が丸く見えがち。これもドロップショルダーと同じように考えるといいでしょう。
最近はノーマルな身巾のコートも出てきていますので、今は身巾が大きいものとノーマルなものが混在していると考えられます。つまり、自分で見分けなければならないということですね。
ただしドロップショルダーやラグランスリーブが全てダメなわけではありません。試着して似合っていないと感じたら、肩のライン、袖付けを見てみてくださいということです。
ところでビッグシルエットについて
ここ数年、シルエットが大きいものが多いですよね。コンパクトなものも増えてはきていますが、まだ大きいシルエットの流行は続いています。ですがこの大きいシルエット、誰でも似合うわけではありません。大人の女性にとっては特に難しいといってもいいでしょう。
基本的には大きいシルエットをおしゃれに着こなせるのは高身長の方。
服として美しいと感じるシルエットのひとつは、縦長のシルエットです。ところがごく一般的な身長の女性が身巾の大きいコートを着ると横幅が大きくなり、縦長のシルエットではなくなります。ですが高身長の方ならビッグシルエットのコートでも、縦長のシルエットをキープできるということですね。
また身巾が大きめのロングジャケットにロングフレアスカートやワイドパンツといった、全体にボリュームのある組み合わせ。ファッション雑誌などで見かけますが、基本的には高身長の方以外は避けたほうが無難です。

パーソナルデザイン別アドバイス
ここからはパーソナルデザインごとに、コートについてざっくりお伝えします。(ここであげているものは一例です。また合わせるボトムの丈などによっても変わります)
ファッショナブル・タイプ
大きいシルエットも着こなせます。そこまで身長が高くなくても、ビッグシルエットのコートや全体にボリュームのある組み合わせを着こなせる方もいらっしゃるでしょう。コート丈は(スーパー)ロング。
中途半端ではなく極端なものが似合います。
・細身のシルエット→かなり細身。肩のラインはシャープ。ロング&リーンといわれるような細長いシルエット。
・ビッグシルエット→パワーショルダーなどシャープな肩のライン。ドロップショルダーも悪くないですが、かわいらしい感じや中途半端な雰囲気にならないように。
ナチュラル・タイプ
大きいシルエットも着こなせます。(かわいらしい感じではなく)ラフで格好いい感じのドロップショルダーも似合います。コート丈は長め。
トレンチコートやチェスターコートなど、メンズライクなデザインのものがよく似合います。これらはセットインスリーブ(ノーマルな身巾)、ラグランスリーブ、ドロップショルダー(身巾大きめ)などどれもありです。
グレース・タイプ
特にセットインスリーブをおすすめします。コート丈は長すぎず、短すぎず。身巾も大きすぎず、小さすぎず。まさに王道、中庸。そしてストレートなラインが使いやすいでしょう。比翼仕立てなど、上質、上品なシンプルさを強調するデザインもおすすめです。
フェミニン・タイプ
グレース・タイプとほぼ同じですが、さらに柔らかさをプラスするといいですね。アンゴラなど柔らかい素材、控えめなファー使い、プリンセスラインやベルテッドコートなどで裾が少し広がるもの。レディライク、クラシックなものをイメージするといいかもしれません。
ロマンス・タイプ
ウエストマーク(ベルテッドコートや、ベルトをしなくてもウエストが絞られているデザイン)のコートがよく似合います。コート丈は長め。裾が大きく広がるシルエットやふんわりエレガントなファー使いもおすすめ。袖巾ゆったりめや、ベルスリーブなども。
肩のラインは、ロマンス・タイプの方は少し丸みがあったほうがすてきです。セットインスリーブなら柔らかい素材で肩パッドなしか薄め。ドロップショルダーもありですが、カジュアルにならないデザインを。他にもキモノスリーブなど袖付け線がないものも。
ただドロップショルダーやキモノスリーブは、ものによってはガウンに見えてしまうことが。これはとにかく試着して確認しましょう。
ちなみにラグランスリーブはスポーティな印象になりがち。グレース、フェミニン、ロマンス・タイプの方は避けたほうが無難。でも素材やシルエットなど全体的に似合っていて、ラグラン線が目立たなければもちろんOK。(ラグラン線が目立つのは、ラグラン線で素材を切り替えているものなど)
キュート・タイプ
コンパクトなものが得意なので、身巾が大きすぎないものを。また肩先のシルエットが丸ではなく角のほうが着こなしやすいということもあり、セットインスリーブがおすすめ。コート丈は短め。シルエットはストレートやベルテッドの他、台形ラインもかわいい。
ドロップショルダー(身巾大きめ)や長め丈なら、ボトムはコンパクトに。細身のパンツやストレートスカートなどと合わせるといいですね。コートとボトム、両方大きいとバランスがとりにくいです。
パーソナルデザイン・タイプがわかると
洋服の基本の形
洋服には基本の形があります。この記事でお伝えしたようなセットインスリーブ(ノーマルな身巾)や、記事「大人の女性をきれいに見せる服選び(ウエストの存在を見せる)」でお伝えしたウエストマークのシルエットなど。こういった基本の形は完成された形であり、着る人を美しく見せる効果が高いです。
ただ基本の形、セットインスリーブ(ノーマルな身巾)のコートといってもさまざま。丈、シルエット、ディテール、素材など。パーソナルデザイン・タイプがわかると、これらについてどのようなものを選べばいいのかわかります。
基本の形から外れたものは着る人を選ぶといえますが、これもパーソナルデザイン・タイプがわかると取り入れられるのか否かがわかります。ビッグシルエットなら、ファッショナブル・タイプ、そしてデザインによってはナチュラル・タイプの方に似合います。似合うものがわかると、選ぶ範囲が広がるということです。
コーディネート
合わせるボトムによってもコートのデザインや丈などが変わります。パーソナルデザイン・タイプがわかるともちろん似合うボトムもわかります。似合うアイテムどうしは組み合わせがしやすいことが多いので、似合うコートを1着選べば複数のボトムを合わせるといったことが可能になります。コーディネートの悩みが減ります。
長く着られる
あまり得意ではないデザインの服も、流行していればそれなりに見えます。若い方は特に。でもその流行が廃れたら、流行遅れに見えてしまいます。
ちなみに、去年たくさん着ていた服なのに今年着る気になれないとか、去年の今頃私何着てた?今年着る服がない…なんていうことはないですか?(本来は得意なデザインではないけれど)去年は流行っていて、または買ったばかりで新鮮で気に入っていた。でも今年は合わないということをはっきり感じてしまって…ということなのかもしれません。これは似合うものがわかっていれば、ふせげます。
いわゆる流行りものも、そうでない服も、似合っていれば長く着られます。似合うものはたとえ去年の流行りであったとしても、流行遅れに見えないのです。似合っている、すてきという印象のほうが勝るからです。
コートなどは特に長く着たいアイテムではないでしょうか。ぜひ似合うものを知って、長く着られるコートを見つけてください。
アフターフォロー
タイプを知っただけでは選べないという方は、個別にご相談いただけます。先ほどお伝えしたパーソナルデザイン別のアドバイスよりさらにきめ細かいアドバイスが可能です。たとえば似合うと思って試着したのに合わない…といったときに相談していただくと、合わない原因がわかり、その後の服選びに役立てていただけます。
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